スピーカー用コイル測定記事の一つですが、一記事ずつ見ても分かりにくいので(1)の概要記事から辿っていくことをお勧めします。
測定した各コイルの紹介は(2)の記事にあります。
概要
今回はコア入りコイルで懸念される、歪みについての測定です。
測定方法
パワーアンプに、1.2mHの被測定コイルと6.8Ωのダミーロードで形成したLPFを接続し、抵抗両端に出る信号の歪率を測定しました。
はじめに、6.8Ωダミーロードのみ負荷にした歪率です。各1V,2.5V,5V,10Vで、抵抗の両端電圧を基準にしています。
これは測定環境の歪みで、測定下限ということになります。
黄線が2次,灰線が3次,赤線が4次高調波です。歪率は右軸に%で表示してあります。
測定結果
空芯
まず、空芯コイルはメーカーや構造に関わらず歪みがでませんでしたので、代表してMundorf の空芯コイルを掲載します。
10V出力時、中低域で歪みが上昇しているように見えますが、負荷変動によるアンプの歪みと思われます。
Jantzen Pコア
中域で明確に歪みがでました。低いレベルでも3次高調波が0.3%ほどあるので、多少耳につくのではないかと思います。
コイズミ フェライトコア
こちらも低域で歪みが出ました。2.5Vではほとんど見えませんが、5Vあたりから3次高調波が上昇してきます。
ERSE SUPERQ コア
コア入りで唯一歪みが見えません。優秀なようです。
Jantzen Cコア
トロイダルコアのコイルです。同社Pコアほどではありませんが、こちらも中域で歪みが見えます。
まとめ
単純比較できませんが、歪みの多さは
Jantzen Pコア > コイズミ フェライト > Jantzen Cコア > ERSE SUPERQ ≧ 空芯
という感じでしょうか。
コアによって中域に歪みが出たり、低域に歪みが出たり、歪みが出なかったりと、コアコイルだからどう、という単純な判断は出来なさそうです。
気になる方は空芯コイルを使うか、自分で測ってみるのが良いと思います。