記事ではRCAから入力していますが、Hi-Z系入力から入れれば高インピーダンスも高精度に測れそうです。
そのうち測り直して訂正します。
はじめに
スピーカー測定ソフトARTAと一緒にパッケージされているLimpというインピーダンス測定ソフトがあり、オーディオインターフェースと冶具を合わせることでスピーカーユニットなどのインピーダンスカーブの測定と出力が可能な大変便利なソフトです。
また抵抗やコイル、コンデンサなどの各周波数でのLやC、R成分を調べる事も出来ます。
Twitterを眺めていると測定精度が気になったので、今回確認してみる事にしました。
因みにLimp公式のマニュアルに測定精度についてこの記事以上に詳しく検証がされていますので、確認されたい方はこちらのマニュアルを参照されるのが良いと思います。
調べ方
LCRメーターでL,C,Rを測り、Limpと測定値を比較してみます。
リファレンスはNF回路設計ブロック ZM2372で、安く買いましたが定価20万円ほどのそこそこまともなLCRメーターです。
測定にあたり出力インピーダンスの関係で測定電圧を全く同じにする事は困難(めんどくさい)なので、コイルは信号レベルで測定値にあまり影響の出ない空芯コイルを測定しました。
逆にスピーカーユニットやコア入りコイル等信号レベルで特性の変化するものは、パワーアンプ等を使用し実際の使用に近い信号レベルで測定した方が良さそうです。
抵抗測定結果
まず抵抗のZM2372及びLimpによる測定結果は以下です。
ネットワークで1kΩ以上の抵抗はあまり使用しませんので参考データです。
周波数特性はあまり変わらないので1kHzの値を載せておきます。
見ての通り高抵抗値になると誤差が非常に大きくなるのですが、計算してみると被測定素子と並列に約6.8kΩが入っていると考えれば値がおよそピッタリ合います。
上で紹介した公式マニュアルによると、測定限界はインターフェースの入力インピーダンスによって決定される、とありますので入力インピーダンスの影響によるもののようです。
コイル測定結果
さて実測のずれを調べるため1.2mHのコイルを測定してみました。
表の通り大変精度が高いです。上記の通りコイル測定はかなり大きな値を使わない限りほぼ誤差を考慮する必要はなさそうです。
インダクタンス誤差はせいぜい1%ほど、Rsは高域でやや誤差が大きいですが、それでも実用には充分な精度です。
次にコイル0.18mHも測定してみました。
こちらも非常に高い精度です。
オーディオインターフェイスの性能にも依りますが、一般的な値のコイル測定では高価なLCRメーターと比べても遜色ない性能を発揮してくれそうです。
コンデンサ測定結果
コンデンサも測定してみました。
まずは4.7μF、Monacorのポリプロピレンです。
容量については31.6Hzを除いて1%未満の誤差でかなり正確です。
31.6Hzでは上記の通り入力インピーダンスにより誤差が出ているようです。
当然ですが容量が正確に測定できていないのでRsの誤差も大きいです。
次に0.2μFでも測定してみます。
このように低域側でかなり容量誤差が大きくなります。
Rsの誤差も非常に大きいです。
Limpで小容量コンデンサ、特に低域側の測定値を見る際は注意したほうが良さそうです。
因みに上2つのコンデンサの測定インピーダンスカーブを重ねてみると、
4.7μF(緑色)はほぼ周波数に反比例した実際の特性どおりのカーブを描きますが、0.2μF(黄色)は入力インピーダンスの影響で明確に頭打ちになってしまっています。
まとめ
公式マニュアルの通り、Limpによる測定は比較的まともなLCRメーターと比べても遜色ない測定精度でした。
測定の最大値はインターフェイスの入力インピーダンスで制限されます。
今回はRCA入力で測定したため、誤差が大きくなってしまいました。
今回微小信号レベルでの測定は行っていませんが、敢えて信号レベルを小さくする意味も無いので一般的なラインレベルであれば特に問題無さそうです。